【報告】平成23年度第1回医療コンフリクトマネジメント研修会(基礎編)行われる

去る7月2、3日に今年度第1回目の医療コンフリクトマネジメントが開催されました。

受講者は、医師2名、看護師19人、助産師1名、事務職員6人、理学療法士1名、ソーシャルワーカー1名の30名でした。そのうち、22名が女性で、今回はやや落ち着いた静かな研修会でした。と言っても、講師の和田先生・中西先生の熱い講義は健在です!

「みかん」は6名がファシリテーターとして参加させて頂きました。昨年度2月の研修会から5カ月も経過しており、私たち「みかん」もまた新鮮な気持ちで参加しました。研修内容は基本的に統一されていますが、先生方の講義は、毎回グレードアップされ、私たちも新しい発見やさらに理解を深めたりと参加することで勉強させて頂いています。

基礎編を受けた方、次は「継続編」を受けましょう。そのためにも、支部の勉強会やファローアップ研修、早稲田総研の研修等受講されるといいですよ。日常の業務に戻ると、多忙でつい、忘れてしまいがちなメディエーション。時々テキストや資料を開くことをお勧めします。ぜひ、メディエーターマインドの輪を一緒に広げていきましょう。

(記:曽我部)

【報告】近況報告

今川です、近況報告をさせていただきます。

1.今治眼科懇話会

「眼科領域における医事紛争と医療メディエーション」
日時:平成23年4月14日(木)19:00~20:30
会場:今治国際ホテル

今治市内の眼科開業医とそのコメディカルの方々約20名が参加されました。講演の前半は、眼科の医療裁判判例や県内医事紛争事例を紹介して、後半部で、医療メディエーションの理論やスキルについてお話しました。医療メディエーションは初耳という方が多く、非常に熱心に聴いてくれました。

2.愛媛県臨床整形外科医会会誌に掲載予定の原稿、

「インタレストは何だろうか?」を、このブログに一足先に紹介させていただきます。

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「インタレストは何だろうか?」

今川整形外科 今川俊一郎

「コミュニケーション方法」について考えてみたいと思います。「インタレスト」とは、話し手や聴き手の「心の中に隠された本当の欲求」を意味しています。インタレストは、「私は・・・したい」と表現され、そして、1つだけではなく複数あって、表層から深層へと重層構造になっています。話し手のモチベーションを表現しています。実は、話し手である本人自身もこのインタレストに気付いていないことが多いのです。実際の対話の途中でちょっと立ち止まり、相手や自分のインタレストを冷静に考えてみると、モノの見方や見え方が変わってきて、対話が自然と円滑に展開していき、人間関係が好転する場面に遭遇できるかもしれません。

私は、愛媛県医師会常任理事として、医事紛争処理を担当するようになって8年になります。これまでに多くの事件に関わってきました。医事紛争とは、一言でいえば、医師にも患者にも“悲惨と消耗と荒廃”しか残らないものと考えています。医事紛争処理委員会の委員すべてが“明日は我が身という暗い気持ち”で、毎回審議に参加していると思っています。医療民事裁判件数は毎年減少傾向にあるとはいえ、日本医療機能評価機構の医療事故やヒアリハット報告件数は増加しています。医療事故も医療ミスも決して無くなることはありません。むしろ、事故やミスは、いつでもどこでもだれにでも必ず起こり得るもの、と肝に銘じておくべきでしょう。

医事紛争処理委員会審議の中で、事実検証の結果、どう見ても医師に落ち度はないし、患者もクレーマーやモンスターとは思えない、にもかかわらず紛争激化しているという事案が少なくありません。いわゆる“ボタンの掛け違い”ですが、患者・医療者相互の意思疎通を欠いた結果が拗れた膠着状態を惹起しています。この場合の社会的・法律的な収拾策は、“医療者側の説明不足”とか“患者側期待権の侵害”といった言葉で片づけられますが、医療現場の壊れてしまった信頼関係はもう元に戻りません。当たり前のことですが、“拗れたものを繕うよりも拗れないようにすること”の方が簡単であり、いい結果を期待できることは道理です。どこかの国の原発事故対応はこの悪い見本の典型だと思いませんか?

愛媛県医師会では、約4年前から、医事紛争の「初期対応」に着目してきました。具体的には、初期対応の役割を担う「医療メディエーター」の組織的な育成に力を注いできました。現在、愛媛県内の医療機関には、約350名の医療メディエーターが活躍しています。その医療メディエーターのスキル(手技)の極意が、「インタレスト」を的確に把握することなのです。言い換えれば、「私は・・・したい」という「私」メッセージの形で、「隠れた欲求」をキチンと捉えておくことなのです。適切な「インタレスト」が取れておれば、対話によって人間関係が修復され、おのずとWin-Win(双方が満足する)解決に繋がっていきます。応用範囲は紛争場面だけではありません。通常診療中、患者さんを相手に「インタレスト」を考えてみてください。また、仕事中だけではなく、家族や友人や職員に接する時にも、是非とも試してみてください。今までとは違った別世界に足を踏み入れることができるかもしれません。

平成23年度医療コンフリクトマネジメント研修会 案内

愛媛県医師会主催、JAHM四国支部共催により下記の通り基礎編の研修会を開催します。
※JAHM四国支部単独で主催する分に関しては別途ご案内します。

1.実施目的
医療コンフリクト・マネジメント(医療紛争を医療メディエーションという技法を用いて、訴訟ではなく対話によって解決に導く方法)の基本的な考え方を学び、医療安全や質としての意識の向上を図る。 

2.主  催
愛媛県医師会 

3.共  催
日本医療メディエーター協会四国支部 

4.実施回数
基礎編3回 

5.対  象
四国内の病院の医療安全担当者等(医師、看護師、事務職員等) 

6.募集人数
1回あたり30名 

7.講  師
和田 仁孝 先生 (早稲田大学法務研究科教授、紛争交渉研究所所長)
中西 淑美 先生 (山形大学医学部総合医学教育センター准教授) 

8.ファシリテータ
日本医療メディエーター協会四国支部から派遣(数名) 

9.受講料
【愛媛県内の医療機関に勤務の方】
20,000円(2日間・テキスト代別)
※平成23年度日本医療メディエーター協会(JAHM)認定会費6,000円および平成23年度JAHM四国支部会費3,000円を含んだ合計。 

【香川県、徳島県、高知県の医療機関に勤務の方】
33,000円(2日間・テキスト代別)
※平成23年度日本医療メディエーター協会(JAHM)認定会費6,000円および平成23年度JAHM四国支部会費3,000円を含んだ合計。
この研修会は愛媛県医師会の事業のため、愛媛県外の方は全国統一料金(30,000円)+四国支部会費とさせていただきます。ご了承のほどお願いいたします。 

10.開催日時・会場
下記のいずれか1回を受講していただくことで、(社)日本医療メディエーター協会の「医療メディエーターB(Basic)」の認定を受けることができます。
 

第1回 1日目:平成23年 7月2日(土)  午前9時~午後6時
     2日目:  〃   7月3日(日)  午前9時~午後5時
     会 場:松山市民病院永頼会館2F多目的ホール

第2回 1日目:平成24年 2月4日(土) 午前9時~午後6時
     2日目:  〃  2月5日(日) 午前9時~午後5時
     会 場:愛媛県医師会館(予定)

第3回 1日目:平成24年 3月3日(土) 午前9時~午後6時
     2日目:  〃 3月4日(日) 午前9時~午後5時
     会 場:愛媛県医師会館(予定)

※第3回については講師が変更になる予定です。
11.お申し込み方法
第1回は締め切りました。 

12.申込締切
第1回・・・締め切りました。
第2回・・・10月頃に再度ご案内します。
第3回・・・10月頃に再度ご案内します。
13.テキストについて
「医療コンフリクト・マネジメント-メディエーションの理論と技法」(和田仁孝・中西淑美著 シーニュ社 3,400円+税)を使用します。お持ちでない場合は愛媛県医師会でまとめて購入することもできますので、ご希望の場合は申込書の記入欄にご記入くださ い。テキスト代は受講料とは別に当日徴収します。 

14.注意事項
  1. 本研修会は日本医療メディエーター協会および同協会四国支部の協力のもとに実施し、受講された方は「医療メディエーターB(Basic)」の認定 が取得できます。そのため、受講にあたっては日本医療メディエーター協会および同協会四国支部への入会を条件とさせていただきます。なお、それぞれの会費 は平成22年度のもので、翌年度以降も新たに会費が発生します。
  2. 本研修会は3人一組によるロールプレイ(役割演技)を中心とした内容になっています。そのため一人でも欠席されると研修会の実施に支障が生じます。必ず1日目と2日目の両日を受講してください。1日だけの受講や、遅刻・早退は認めません。
15.お問い合わせ先
〒790-0011
松山市千舟町4丁目5-4-1F愛媛県医師会
事務局 担当者:出来(でき)
TEL 089-943-7582 FAX 089-933-1465
e-mail: deki@ehime.med.or.jp

医療メディエーション推進チーム「みかん」出張研修のご案内

四国支部では医療メディエーション推進チームによる出張講演を随時受け付けています。
年2回の全職員対象の医療安全研修会等にご活用ください。

内 容   メディエーションとは
       メディエーションマインドを基にした傾聴の姿勢とは
       初期対応の重要性について

対  象   四国内の医療機関、医師会、その他医療従事者の集会

参加人数  概ね50名以上

曜  日   原則として土曜日午後または平日の夕刻

(月1~2回の開催となりますので依頼状況により数ヶ月先になる場合もあります。
期日が限定されている場合は余裕を持ってお早めにお申込みください。)

講演時間  概ね90分程度

プログラム
 
1.講義1   「医療メディエーションとは?」
        医療メディエーションの考え方についての講義です。

2.講義2   「医療メディエーションの技法・実践」
        DVD映像を用いて医療メディエーション概念に基づく初期対応について解説をします。
    
その他
 研修会の周知および会場・プロジェクター等の準備は依頼者様の方でお願いします。
 また、アンケート(追跡アンケートを含む)のご協力をお願いします。


◆お問い合わせ先・「みかん」出張研修のご相談
〒790-0003 愛媛県松山市三番町4丁目5-3(愛媛県医師会内)
事務局 担当者:西原(にしはら)
TEL 089-943-7582  FAX 089-933-1465
e-mail: jahm-s@ehime.med.or.jp

【報告】第4回四国支部勉強会を開催しました

 

平成23年3月5日松山成人病センター3階会議室にて会員研修が行われました。参加者は12名で、うち初参加の方が7名いました。チームみかんのメンバーも6名でした。

まず、メディエーションチップを学び、学習の振り返りを行いました。そこで活発な意見交換が見られ、自分たちで納得できるまで話しました。基礎編で学んだ後、十分に理解できていないところの、復習が出来ました。

その後、ロールプレイの学習では、グループを3つにわけ、観察者をいれ4人グループとし、観察者は経験のあるメンバーになってもらいました。今回は1事例のみとし、ロールプレイの後、IPI分析を発表しあいました。そして観察者として、自分がメディエーターだったらという視点での意見は言葉のかけ方や、場の雰囲気の変化などが読みとれたようでした。4人一組でじっくり重ねていくことも勉強になると思いました。

最後に、実際メディエーターとして対処したみかんメンバーから、IPI分析や、その後の改善策まで発表していただきました。

最後の意見交換会では、

研修受講後に患者と向き合い話をしっかり聞くことが出来るようになり、患者との良い人間関係がもてるようになった成功体験
事例を増やして勉強会をしていって欲しい
みかんの会のロールプレイを見せて欲しい

などの意見があり、支部より本部に事例提供を依頼しているとのことでした。これからも支部研修会は年4回実施予定です。皆さん参加して一緒に学びましょう。(記:安藤)