2011年01月

【報告】松山ベテル病院で講演しました

平成23年1月13日、松山ベテル病院に於いて第11回目の「みかん」講演を行いました。
松山ベテル病院は、早くからスタッフが県医師会主催のコンフリクト・マネジメント研修会(基礎編~継続編)に参加され、また昨年12月の研修には院長先生自らも参加されるなど、病院を挙げての取り組みが行われています。

講演のプログラムは、医療メディエーションに関する講義、DVDを用いた事例解説、ロールプレイの実演など、約2時間の内容でした。講演後のアンケートでは一定の評価・感想は頂いたものの、やはり平日の業務終了後の2時間は、参加された方々には少しご負担であったのではないかと思います。
プログラムは、メディエーション(マインド)を段階的に理解して頂きやすいように、一つひとつの内容を考えて構成していますが、さらに要点を整理するなどして、時間短縮も含めて参加される方々の集中を切らせないような工夫が必要だと感じました。

講演後の質疑応答では、「研修等で“skill”を高めていけると思うが、“will”の部分をより高めるにはどうしたらよいか・・」旨のご質問を頂きました。
“will”を高める方法というとなかなかお伝えするのが難しいのですが、私は、まずは一つひとつの対応の場面を大切にし、真摯な姿勢で向き合うことだと思っています。相手の話をよく聴き、心の声に耳を傾け、できる限り相手の想いに寄り添えるように努める(行動する)なかで、すべてとは言いませんが、今までよりも深いところで理解し、通じ合える瞬間を体感されることが必ずやあると思います。この(成功)体験を糧にまた行動する、これを積み重ねていくことが結果としてwillを高めることに?がるのではないかと思います。

私がメディエーションを学び始め、2度目のメディエーターとして関わった際、それまで非難的であった“場”の空気が、一つの言葉をきっかけに大きく変わり、相互理解へと傾いた瞬間は今でも鮮明に脳裏に焼きついています。学んだskillを実践することは、ある意味勇気が必要ですが、結果を恐れず“やってみる”ことが大切だと感じた次第です。(記:徳永)

 

【報告】平成22年度シンポジウム報告

平成23年1月15日に平成22年度日本医療メディエーター協会四国支部シンポジウムが開催されました。かなり冷え込んだ松山市において、開催場所のリジェール松山8Fクリスタルホールは、参加者120名の熱気にあふれた空間となりました。

特別講演I「医療現場で活かせるメディエーション」
自治医科大学付属病院医療安全対策部長  長谷川剛教授

特別講演II「患者が望むメディエーションマインドについて」
NPO法人愛媛がんサポート「おれんじの会」副理事長  小野光則様

活動報告 「四国における医療メディエーション推進活動について」
JAHM四国支部医療メディエーション推進チーム「みかん」 友澤永子

特別講演Iの長谷川教授は、今後の医療メディエーションのメソッドとして、「teamSTEPPS」と「ノンテクニカルスキル」を取り上げ、チームとしてのより良い実践と患者安全を高めるためのツールと戦略により、情報、人、資源を最大限利用する効率のよいコミュニケーションがとれたチームを作り出すことが重要と述べられました。また、業務遂行に必須の「テクニカルスキル」にたいし、安全を守るための「ノンテクニカルスキル」が重要で、状況確認や意思決定、コミュニケーション、チームワーク、リーダーシップ、ストレス管理、疲労対策等、医療現場で発生する様々な問題点の認識と確認を行い、医師、看護師という立場に関係なく、声を上げることが重要とされました。さらに、Aiとメディエーション、エンパワメントと協調、モチベーション3.0、Autonomy(自己決定権)など非常に豊富な知識を披露され、「持続するやる気が重要」、「人間に対する信頼、強調、ケアの精神を持ち」、医療現場でメディエーションスキルを発揮していくことが必要と述べられました。最後にJonsenの4分割法(Medical Indication、Patient Preferences、QOL、Contextual Features)を紹介し、各症例で発生した具体的な問題にたいし、広い視野から眺め、多職種間での討論の枠組みを作る準備として有用であろうとされました。

特別講演IIの小野光則様は、患者・家族会の立場から医療メディエーションを捉え、医療者側、患者側双方がお互いに対話を通して分かり合える関係を構築することが大切であり、両者の関係を信頼関係にしていくためには「人のつながり」、「人を生かす愛」が重要とされました。メディエーションが必要な状況になる前に、患者を理解するための配慮が必要で、医療者と患者が顔を合わして、心通わし、患者が安心して求める医療を目指すことが大切であると述べられました。

最後に、JAHM四国支部の友澤から四国支部の活動内容、特に「チームみかん」の活動報告がありました。愛媛県医師会と看護協会が中心となり、四国4県への医療メディエーションのさらなる普及を目指して今後も活動していくという強い決意を発信しました。 (渡邊 記)