日本耳鼻咽喉科学会愛媛県地方部会 愛媛県耳鼻咽喉科医会

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再発性口内炎 - 耳鼻科で薬の塗布を、早期治療で難治性回避 -
 三歳八ヶ月の孫のことでお尋ねします。舌の先や横、ほおの内側などに口内炎ができて痛がり、食事のときなど困ります。
 初めてできたのは、一年半ほど前です。中耳炎の抗生物質の投薬後にできて、痛がりましたが、そのときは耳鼻科での塗布薬で耳の完治とともに治りました。
 ところが、今年の三月ごろから腕の内側に水疱状の湿疹が少し出始めたのと同時に、口内炎もでき始めたようです。
 耳鼻科でも小児科でもアトピーかもしれないと言われ、塗り薬をもらいました。口腔薬も塗りますが、効果はそのときだけです。
 毎日痛がるので、どうしても治してやりたいと思います。よろしくお願いします。
 
答え

 口内炎が反復し、治りにくく痛がっている様子がよくわかります。発熱もなく何でも食べ、ほかの全身状態もよく、口内炎が口腔内に限られていることから、再発性アフタ性口内炎が考えられます。


 口腔には歯牙(しが)があり、食物の入り口であることから、外傷や感染など外界からの刺激を受けやすく、口内炎は口腔全体の粘膜のどこにでも起こります。
 再発性アフタは口腔粘膜の特に舌、くちびる、ほお粘膜、歯肉にできます。直径数ミリの円形または楕円形の周囲との境界が明瞭な浅い潰瘍です。表面は灰白色の偽膜に覆われており、強い刺激痛を伴います。一般的には数は二−五個以内で七―十四日くらいで瘢痕を残さず、治ります。再発の頻度は年に一、二回程度から、月に一回以上のこともあり、一定していません。発熱などの全身症状は特に見られません。


 原因として感染、ストレス、アレルギー、ビタミン不足、自律神経異常、消化不良、内分泌異常などが挙げられていますが、本態は不明です。従って治療法も現在のところ根本的なものはなく、対症療法となります。


 (1)十分な睡眠を取り、疲労をさける(2)口腔内を清潔に保つため刺激の少ないものでうがいをする(3)歯磨きのときに傷つけないように気をつける(4)酸味や辛味などの刺激性の食物を避ける(5)アフタ局所にステロイド含有の口腔用軟膏や貼付剤を塗布する(6)痛みのために経口摂取できない重症例では輸液療法、二次感染予防のために抗生物質の全身投与を行うーなどがあります。口腔アフタの軟膏塗布は部位によっては唾液のためになかなか難しく、やはり二、三日は耳鼻科を受診して塗布してもらった方が効果的です。
 

 再発性アフタのほかに、小児に日常みられる口腔アフタを主症状とするウイルス感染症があります。
 急性ヘルペス性歯肉口内炎は単純ヘルペスウイルスの初感染により、主に乳幼児の口腔粘膜にアフタと出血しやすい歯肉炎を起こし、強い痛みがあり、ひどいときは食物摂取が困難になります。リンパ節がはれ、三十九度以上の発熱が二―四日ほど続き七―十四日くらいで治ります。ヘルパンギーナはコクサッキーウイルスA群、エコーウイルスの感染症で、一般的には一−四歳の幼小児が好発年齢です。発熱で始まり、感冒のような症状とともに、口腔粘膜では小水疱が破れ、米粒大のアフタが数個から十数個見られます。約一週間ほどで治ります。


 手足口病はコクサッキーウイルス、エンテロウイルスによるものです。手のひら、足の裏に小水疱を形成するとともに、口腔粘膜にもアフタが数個生じ、七日くらいで消えます。以上のように小児の口腔内アフタの原因は不明のもの、ウイルス感染によるものなどさまざまですが、再発性アフタは難治性にならないように、生じたらその都度すぐに治療をお受けになることをおすすめします。

(岸 澄子)

 
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