日本耳鼻咽喉科学会愛媛県地方部会 愛媛県耳鼻咽喉科医会

健康ナビインデックスページへ戻る
アレルギー性鼻炎 - 抗原を除いて免疫力を 妊娠中の薬は最小限に -
問い 二十九歳の主婦で妊娠五ヶ月です。
 十年前からアレルギー性鼻炎になって、風邪をひくと急性蓄膿症にもなります。原因はハウスダストです。これまでに体質改善の注射や薬を試してみましたが、効くのはその時だけです。現在は鼻づまりを取る点鼻薬だけを一日二回、七年間同じものを使っています。
 また三歳の長男もくしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙目になって遺伝したようです。
(1)同じ点鼻薬を長い年月使用して大丈夫でしょうか。(2)完治させる一番よい治療方法は(3)小さい子供でも今から治療しておく方が良いでしょうか(4)近い将来、例えば予防注射のような治療法は考えられないでしょうか。
 

答え   アレルギー性鼻炎(または鼻アレルギー)は鼻の粘膜が「抗原抗体」反応のために過敏となり、ちょっとした刺激でも鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどを起こす状態です。
「抗原」とはアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)のことで、わかっているだけでも何十種類とあり、あなたの場合のようにハウスダスト(家屋内のほこり)やダニ、スギ花粉やイネ科の雑草、ブタクサなどが代表です。「抗体」とは原因物質に対抗して人体が作り出す反応物質です。

   くしゃみ、鼻水などの症状は原因物質が体内に入らないようにするための人体の防御反応とも考えられますが、あまりに反応が過剰にでると日常生活に支障をきたす結果を招き、治療が必要となります。
以前は鼻の病気と言えば蓄膿症(慢性副鼻腔炎)が代表的でしたが、風邪のあとの急性蓄膿症を別とすれば、アレルギー性鼻炎の症状に悩む人が最近とても増えてきています。

   治療法はいろいろ考えだされていますが、現段階ではまだ完全な治療法はありません。大別して「抗原」に着眼した原因療法と、「症状」に着目した対症療法とがあります。
  前者には検査によって原因がわかった場合、それを避ける、遠ざける(マスクをする、転地療法など)といったもの、または原因物質のエキスを少量ずつ注射して免疫力をつけていく治療法(体質改善、減感作療法)などがあります。後者は反応や症状を抑える治療で、薬物療法や点鼻薬、手術などがあります。

   原因がはっきり分かっているかどうか、体質改善の効果が期待できるかどうか(原因が一つでない時)、通院ができるかどうかなど、また、スギ花粉症などのように季節性か、あなたのように通年性か、さらにはどの症状が強いか、などによって治療法は変わってきます。

花粉症のイメージ   ご質問の(1)は、基本的には同じものを長期間使うのは良くありません。かえって鼻づまりがひどくなる場合もあります。また現在妊娠中ということですので、その間は病院で相談の上、必要最小限の使用に止めて下さい。(3)ですが、屋外で遊ぶ機会の増える三歳くらいから鼻アレルギーは起こりますが、多くは炎症が加わっており、単独で鼻アレルギーだけのことは少ないです。年齢的にもまだ本格的な治療は難しく、症状の程度、色のついた粘い鼻汁でないかどうか、中耳炎や鼻出血、口呼吸を伴うかどうかなどを診てもらって下さい。

   ご質問の(2)(4)は現時点、および近い将来に「これさえすれば100%完全」という治療法を期待することは難しいと思います。しかし、最近では高周波電気治療、レーザー手術、化学薬剤による方法など、痛みや出血などの苦痛が少なく、入院不要の外来手術を行う病院も増えています。通院が難しく、また妊娠などで薬がのみにくい場合にも効果があります。副作用の少ない薬も次々を開発されてきており、以前に比べると随分、治療の選択肢が増えました。どの治療があなたに一番適しているか、耳鼻咽喉科専門医にぜひ一度相談されると良いと思います。

(松本 康)

インデックスページへ戻る