今年もまた花粉症の季節がやってきました。現在、日本人の5人に1人は花粉症患者と言われています。その症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状や、目のかゆみ、のどの違和感、せきなどがあり、花粉症患者にとっては本当につらい季節です。花粉症の原因としてはスギ花粉が有名ですが、実はスギ花粉症患者の約8割がヒノキ花粉症になっているといわれています。スギの花粉は2月中旬から3月末にかけて飛散し、ヒノキの花粉は3月上旬から5月初旬にかけて飛散します。つまり、スギ・ヒノキ花粉症患者は2月から5月初めまでの長期間にわたって花粉症の症状に悩まされることになります。愛媛県では、スギとヒノキの人工林面積割合がほぼ同じなのでスギ花粉のシーズンが終わっても安心できません。今年(2008年)のスギ・ヒノキ花粉総飛散数は昨年と比べ東日本でほぼ同数、西日本でやや少なめと予想されています。
数十年前までは花粉症は大人になってから発症する病気で、小児のアレルギー性鼻炎はダニやホコリが原因であることが多いとされていましたが、最近では小学生や幼児の花粉症が急増しています。子どもの場合、副鼻腔炎や滲出性中耳炎の合併も多く、自分で症状を訴えないこともあるので注意が必要です。
花粉症の治療は抗原回避と薬による治療が基本となります。抗原回避とは、外出の際にメガネやマスクなどを使用して目や鼻になるべく花粉が付かないようにすることです。また、帰宅したときに衣類に付いた花粉を落としてから家に入るようにしたり、うがいをするのも効果的です。この時期は花粉情報に注意して、飛散の多い日にはなるべく布団を外に干さないようにしたり、窓や戸をあけないように心がけましょう。しかし、目に見えない花粉を全く吸い込まずに生活するのは不可能なので薬を上手に使って症状を軽減させましょう。最近では初期治療といって花粉が飛び始める2週間くらい前より薬の内服を始めることで花粉症の症状の発現を遅らせたり、症状を軽減させることができることがわかってきました。花粉症の治療は、抗アレルギー薬の内服と症状に応じて点鼻薬や点眼薬を併用する治療が主流です。アレルギーの薬は眠くなると思っている方も多いと思いますが、最近の薬は眠気の少ないものや1日1回の薬もあり、生活スタイルに合った薬を選択できます。また、治療は鼻炎の重症度に応じて異なりますので医師と相談の上、自分に合った治療方法を選択しましょう。
アレルギー性鼻炎は症状のひどい人では集中力がなくなり、仕事や日常生活に支障をきたします。早めの対策と治療で今年の花粉症を乗り切りましょう。
(古賀耳鼻咽喉科 古賀 健一郎) |