松山市医師会とは会長からのメッセージ

会 長 挨 拶

松山市医師会のホームページを訪れていただき誠にありがとうございます。

一般社団法人松山市医師会は松山市のほとんどの医療機関が所属しており、開業医と病院勤務医を合わせて約1,300名の会員で構成されています。本会は、定款に掲げている「医道の高揚、医学及び医術の発達普及並びに地域保健の向上を図り、もって社会福祉を増進することを目的とする」法人組織です。
その目的のため、会員は日々の診療のほかに、市民の健康維持のために様々な事業に携わっています。市民の健康増進を目指した市民医学セミナーなど講演会の開催、松山市の小学校や中学校で行われる健康診断などの学校医業務、乳幼児健康診査、特定健康診査、後期高齢者健康診査、個別・集団予防接種、各種がん検診などの予防事業に携わり、松山市医師会休日診療所での休日診療や、松山市急患医療センターの夜間一次救急へ出務しております。
当会では松山市の救急体制を維持するために二次救急輪番病院の外科・内科・整形外科・脳神経外科などへ協力医派遣を行っており、また健診センターを運営して事業所健診や個人健診を通し市民の健康管理のお手伝いをさせていただいております。さらに松山看護専門学校の運営を行い、松山市の地域医療に貢献できる看護師の育成に力をいれてきました。
平成となり超高齢化社会を迎えてからは、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、地域包括支援センターの運営を開始し、市民のより身近で、生活サポートにも寄り添える体制を整え、松山市在宅医療支援センターを軸に関係職種と協力しながら地域共生社会を目指しています。
引き続き、様々な事業を通じて松山市の医療を支え、地域社会に貢献することに努めます。

当会は昭和23年3月に社団法人となっており、令和5年に設立75周年を迎えます。これからも様々な課題を解決しながら、「地域社会と市民のためになる」「会員のためになる」という方針で運営し、事業を行っていきたいと考えています。
今後とも松山市医師会の活動にご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

会長について


第17代 松山市医師会会長
矢野 誠(やの まこと)

略歴

  • 1968年1月生まれ
  • 1994年 愛媛大学医学部卒業
  • 1994年 愛媛大学医学部第三内科
  • 1995年 興生総合病院内科
  • 1998年 愛媛県立中央病院内科
  • 2000年 愛媛県立今治病院内科
  • 2005年 愛媛県立中央病院内科
  • 2008年 医療法人社団矢野内科

  • 2012年1月 松山市医師会理事
  • 2022年6月 松山市医師会会長

松山市医師会の取り組むべき四つの課題

1.救急医療体制の維持

一つ目は救急医療体制の維持です。救急病院には、比較的症状の軽い患者さんを診療する一次救急病院、主に入院や手術を必要とする緊急で比較的症状が重い患者さんの治療を中心に行うことを目的とする二次救急病院、生命に危険のある重篤な患者さんを治療する三次救急病院があります。一次救急は、日曜・祭日に当会が松山市医師会休日診療所を運営し、平日夜間には松山市急患医療センターへ医師の出務を行っております。二次救急病院は、市内の14病院が協力した輪番制となっており、8日に1回当番病院として救急診療を行っております。当会では二次救急輪番病院の外科・内科・整形外科・脳神経外科などへ応援医師の派遣を行い、救急体制維持に協力しております。

2024年4月から医師の働き方改革が開始となります。連続勤務時間を28時間までに制限することや9時間以上の勤務間インターバルを確保することなどが求められるようになるため、現在の救急医療体制の維持が困難となる可能性もあり、小児救急を含め救急医療体制が維持できるように検討します。

なお救急医療は急病時のためのものであり、便利な時間外の医療機関ではありませんので安易に受診することは避けていただきますようお願いします。救急病院を受診しても、専門の医師に十分な診療と検査を受けることはまず無理だと思ってください。通常の診療時間内に受診することが一番であり、具合が悪いときは早めの受診を心がけてください。

2.新型コロナウイルスへの対応

二つ目が新型コロナウイルス感染症対策です。令和元年12月に初めて中国武漢で報告された新型コロナウイルス感染症は瞬く間に全世界に流行し、今までの生活が一変しました。愛媛県では令和2年3月に1例目の感染報告がありましたが、愛媛県内の累計の感染者は既に4万人を超え、現在も松山市では多数の感染者の報告が続いており、まだまだ先が見えない状況が続いております。

最初は良く分からないウイルス感染症で、診断方法はPCR検査のみで、しかも結果が判明するまで数日かかり、治療法もなく、見えない敵に対して素手で戦うような状況でした。現在は感染診断方法についてはある程度確立され、治療薬も進歩してきており、最初より格段に対応しやすくなりました。

とは言ってもまだ治癒できる治療薬があるわけではなく、命に関わる可能性がある怖いウイルスであることには変わりありません。感染防御で重要なのは当初より言われているように三密を避ける事であり、市民の皆さんには引き続き換気、手指消毒、マスク着用など感染対策の遵守をお願いします。

当会としては行政と連携して、2020年4月から保健所でのドライブスルー方式PCR検査へ医師の出務を行い、2020年10月から当会で引継ぎ地域外来・検査センターとして地域検査センター(ドライブスルー方式PCR検査)を運営しております。また2020年11月より約200の医療機関で発熱外来(診療検査医療機関)を運用し、2020年12月からは松山市の要請を受けたコロナ感染者のオンライン診療も約180の医療機関が協力して開始しております。感染者数が急激に増加し保健所の業務が逼迫した2021年10月からは、保健所が行っていた健康観察も当会にてお手伝いしております。今後も行政と密に連携を取り、市民に健康と安全を届ける活動を継続いたします。

新型コロナワクチン接種ですが、松山市では市民の利便性を考えて、地域のかかりつけ医で接種できるように個別接種を主軸として実施しており、約280の医療機関に協力して頂いております。ファイザー社および武田/モデルナ社のワクチンを使用する高齢者・基礎疾患がある方への4回目の接種や、「mRNAワクチン」と異なる国産の武田/ノババックス社の「組み換えタンパクワクチン」接種も始まりました。接種されていない方はぜひ接種の検討をお願いします。またコロナ禍になり、厚生労働省からの通知が多くなり通知内容が変更されることも度々あるため、市民へ的確な医療提供が出来るよう、会員への迅速で正確な情報提供に努めていきたいと考えております。

3.災害対策

三つ目が災害対策です。いつ起きてもおかしくないといわれ続けている南海トラフの巨大地震などの災害に対応できる医療体制の構築も重要な課題と考えており、行政や看護協会、薬剤師会など関係機関と連携して取り組みたいと思います。

当会では毎年防災訓練を行っておりますが、実際に災害が生じた時に医療活動が円滑に行われるようにシステムの構築を行いたいと考えております。

4.地域包括ケアシステムの構築

四つ目が地域包括ケアシステムについてです。超高齢化社会を迎えている現在、住み慣れた地域・住み慣れた家で最後まで暮らせる「地域包括ケアシステム」を構築していかなければなりません。

現在、高齢者における地域包括ケアシステムの構築に協力しておりますが、国が提唱している高齢者だけでなく、障がい者や子育てへの支援など地域共生社会に向けた地域包括ケアシステムを構築する取り組みは重要であり、行政と連携して医療側の体制作りを進めていきます。

当会では以前より、歯科医師会や薬剤師会、介護・福祉分野の方々と連携しており、引き続き多職種連携を強めて地域包括ケアシステムの実現に努めて参ります。

2022年6月19日 記