髄膜炎のワクチンの導入について

【Q】

新しく髄膜炎の予防接種ができたと聞きましたが、どんなワクチンですか。またどんな病気に効果があるのですか。詳しいことを教えてください。

【A】

 細菌性髄膜炎は小児では最も重篤な感染症です。この病気の罹患(りかん)者は一〜二歳児を中心に四歳までの子どもが大部分を占めており、年間千人くらいの子が発症しています。大きな原因菌の一つがインフルエンザ菌b型(Hib)と呼ばれる菌で、約60%を占めます。これは冬場流行するインフルエンザウイルスとは全く別な病原菌です。
 この菌に感染し髄膜炎を発症すると、高熱が出て嘔吐(おうと)、意識障害が出てきます。治療はこの菌に効く抗生物質が主になりますが、症状が急に悪化して死亡したり、治っても後遺症が残ることがあります。また最近では抗生物質が効きにくい耐性菌が増えており、問題になっています。
 この菌の感染を防ぐ手段として、すでに世界百カ国以上でワクチンが承認されており、九十二カ国で定期接種が行われ、極めて有効な成績が報告されており、安全性も確立されています。また髄膜炎以外のこの菌による肺炎や中耳炎などの感染症も予防でき、抗生物質の乱用を防げます。
 今回日本でもこのワクチンがようやく承認され、来年の初めには発売される予定です。接種開始時期は一般的に生後三〜四カ月くらいで、約一カ月ごとに三回接種し、約一年後に追加一回計四回接種します。DPTワクチンと同時に接種することも可能です。
 まだしばらくは任意接種になるようですが、将来的に定期接種に組み入れられることも十分期待されています。詳しいことはかかりつけの小児科医にご相談ください。    

 〜平成19年9月(愛媛新聞「救Q箱」)より〜

平成20年5月16日HP掲載