初めての育児

【Q】

生後一カ月の半ばごろから毎日のようにおっぱいを大量に吐きとても心配です。体重はよく増えています。いわゆる夕方泣き以外、機嫌は良好、便も一日二〜三回出ています。

【A】

 メールによる育児相談を始めて九年になりますが、圧倒的に多いのが生後三カ月までのお子さんのご相談です。この方は一カ月健診でも異常を指摘されておらず、病気をもらいたくないのでなるべく病院へは行きたくないということでした。もっともなことです。何度かやりとりをして、いわゆる哺乳(ほにゅう)過誤として、よく出る母乳は少し搾ってから与える、しっかりゲップをさせるなどの指導をしたところ吐く回数はずっと減って、「最初は出が悪かったので、まさか出過ぎとは思ってもいませんでした」とのお返事をいただきました。
 便の回数が多い、逆に三〜四日に一回しか出ない、身震いをする、いきむ、うなる、寝ない、寝てばかりいる、泣く理由がわからないなど、さらには育児書に書いてある発達、発育具合とわが子とのわずかな相違など、子どものころから周りに赤ちゃんがいない環境に育ったお母さん方にとって、本来生理的な反応、あるいは極めてささいなことが不安の種になっていますし、養育環境が大きく変化し気軽に相談できる人が周りにいない、適切な機関が整っていない現実が見えてきます。同時に一生懸命育てなくてはという意気込みも伝わってきますが、おなかの中にいた間は自然に育っていたわけですからそのままの気持ちでいいのです。とはいっても情報はんらんのご時世、極めてまれな病気、事故が日常茶飯にあるように報道されますから、なかなか気楽にはいきません。
 そういうとき、お近くの小児科医が手助けしてくれるはずです。肺炎や髄膜炎といった重い病気が減少した今日、小児科医は健診や予防接種、心の問題、あるいはこうした育児相談などに力を入れていますから。    

 〜平成19年8月(愛媛新聞「救Q箱」)より〜

平成21年4月18日HP掲載