ことばの遅れ

【Q】

二歳三ヵ月の息子は他の同年齢の子供と比べて言葉の発達が遅れている気がします。自閉症ではないかと心配です。様子を見ていて大丈夫でしょうか?

【A】

 言葉の発達には発語と理解の両面があります。発語は、多少の個人差はありますが、おおむね次のような経過をたどります。1歳で「マンマ」と言い、1歳半には意味のある単語が増え、2歳では単語をつなげて「ワンワン、来た」などの2語文、3歳で「パパ、会社行った」などの3語文をしゃべります。ご相談のお子様の場合、2語文がなく、単語数が極端に少ない(例えば、5個以内)ようであれば、言語発達の遅れを疑います。
 では、発語以外に、言葉の理解の方はどうでしょうか。「お出かけするよ」の呼びかけに反応しますか? 一般的に、言葉の理解が乏しいことは、単語の数が少ないこと以上に問題です。また、指さしや身振りで周囲の人と楽しくやりとりができますか?このコミュニケーションが大切です。
 さて、ご心配されている自閉症のことに少し触れたいと思います。自閉症は対人関係やコミュニケーションの障害(人と普通に交流できない)、物への極端なこだわりを特徴とします。言葉の発達の遅れもコミュニケーションの障害のひとつのあらわれです。言葉の問題以外に、視線が合いにくい、同い年の子どもと遊べない、同じ事を繰り返す、同じおもちゃでないと納得しないなどの特徴的な症状がみられます。注意しないといけないのは、発達の遅れているお子さんは言葉のコミュニケーション手段を持たないために、先にあげました自閉症と似たような特徴を示すことがあります。しかし、そのような場合、自閉症とは区別して考えます。言葉の遅れに関しては、早期に発見し、正確な診断のもとに適切な対応をしてあげることが重要です。
 以上のことを参考にしていただき、やはりご心配であればかかりつけの小児科医にまずはご相談下さい。    

 〜平成19年4月(愛媛新聞「救Q箱」)より〜

平成20年12月20日HP掲載