子どもの受動喫煙について

【Q】

八ヶ月の子どもがいます。
受動喫煙は子どもにとって大変害があると聞いたことがあります。父親が喫煙者で、家では換気扇のところで吸うようにしていますが、大丈夫でしょうか。

【A】

 受動喫煙は子どもだけでなく、周囲のたばこを吸わない人たちに多くの健康被害を及ぼします。特に細胞分裂の盛んな胎児や乳幼児は多くの悪い影響を受けることが分かっています。受動喫煙が子どもに与える影響の一部を以下に挙げます。
・乳幼児突然死症候群が増える
・喘息(ぜんそく)・呼吸器疾患・中耳炎・副鼻腔炎などが増える
・病気入院が増える
・身長の伸びが悪くなる
・視力が落ちる
・大人はたばこを吸うものだと思いこんでしまう
・自分がたばこを吸うようになる
 さて、ご質問ではお父さんは子どもさんを気遣って、換気扇の下でたばこを吸っているとのこと。結論から申しますと、これでは受動喫煙を防ぐことはできません。煙が目に見えなくとも、また、お父さんがいくら一生懸命換気扇に向かって煙を吐こうとも、居間にタバコの有害物質が拡散してくることが実験で分かっています。別の部屋で吸っても、空気清浄機を備えていても同じことがいえます。それならということで、ベランダや外で喫煙するお父さんも多くいるようです。戸の開け閉めに伴う風の流れによっては部屋の中に煙が入り込むこともあります。しかし、何よりもお父さんの吐く息からはなんと八時間も有害な物質が出ています。また、服や髪、肌に染み付いたたばこのにおいは容易にはとれず、感覚の敏感な子どもにとって、喫煙者に抱きしめられるということはまさに虐待ともいえるかもしれません。またベランダでの喫煙は近隣の住宅の洗濯物や空気を汚染し、迷惑を与えていることが多いため注意が必要です。子どもに受動喫煙を与えないようにするためには、家族中が禁煙をするしか方法はありません。    

 〜平成18年11月(愛媛新聞「救Q箱」)より〜

平成20年7月19日HP掲載