小児の漢方治療について

【Q】

小児の漢方治療について教えてください。どんな病気に使われているのでしょうか。すぐに効果が出るのでしょうか。また、子どもが飲めるのでしょうか。

【A】

 漢方治療は、鍼灸(はりきゅう)治療と並んで、2000年以上の歴史があり、日本だけでなく東アジアの伝統医学の代表です。人類の歴史とともに病気もあります。昔も現代も人は同じ、病気も同じで、漢方はあらゆる病気に対応してきましたが、もちろん万能ではありません。
 漢方薬には、即効性があります。わたしの場合、患者さんがいわゆる嘔吐(おうと)下痢症で受診され、飲んでは吐き飲んでは吐きの訴えのときには五苓散(ごれいさん)という漢方薬をその場で飲ませます。15分ほど様子を見て薬を吐かなければ帰宅させています。そのまま軽快することが多いです。また、こむら返りのときに}芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を一服すると15分ほどで軽快します。
 現代の漢方薬は、ほとんどがエキス剤なので砂糖水、くず粉やミルクココアでペースト状にすると問題なく子供でも飲めます。体質が合えば、けっこう苦い薬でも平気で飲んでくれます。
 現代医学は、もちろん素晴らしく、その恩恵ははかり知れないものがあります。しかし、万能ではありません。漢方治療はどんな病気に使われているのでしょうかとの問いですが、ひき始めの風邪、体質のかかわった気管支喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、心の問題などにもまだまだ出番は多いと考えています。    

 〜平成18年10月(愛媛新聞「救Q箱」)より〜

平成20年6月21日HP掲載