おしゃぶりの功罪について

【Q】

下の子が四ヶ月になり、おしゃぶりを使おうと思います。でも、上の子のときは止めるのが三歳を過ぎたため歯並びに影響すると言われたこともあって、ためらいもあります。おしゃぶりの功罪を教えてください。

【A】

 おしゃぶりの利点として、よく宣伝されている「舌やあごの発達を促す」とか「鼻呼吸を助ける」といったことは、実は現時点では学問的には検証されてはいません。むしろ最大の利点は単純に、簡単に泣きやんで静かになるので、母子ともにストレスが減るということでしょう。また、最近、米国小児科学会からは「乳幼児突然死症候群の予防のため、一歳まで入眠時におしゃぶりを与えることには意義がある」とのコメントが出されました。
 一方、おしゃぶりの最大の欠点は、習慣性となりやすく、乳臼歯が生えそろう二歳半ないし三歳過ぎまで使用していると、やめても噛(か)み合わせの異常が残ってしまうことでしょう。お母さんのお腹の中にいるときから指しゃぶりをしているので、それに代わるおしゃぶりも一歳頃までに自然に取れるなら問題はあまりないかもしれませんが、子どもがどうして泣いているか考えないで使用するため言葉がけが減るとか、口をふさいでいるため発語の機会が減るといった指摘もあります。
 今年の1月には、「小児科と小児歯科の保健検討委員会」から「おしゃぶりについての考え方」がまとめられました(http://plaza.umin.ac.jp/~jpa/info_10.htm)。 「おしゃぶりはできるだけ使用しない方が良い」が、使用するなら、噛み合わせの異常を防ぐため「一歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダを外し、常時使用しないようにする。遅くとも二歳半までに使用を中止するようにする。」ということが要点です。おしゃぶりを使用される場合はこれらを参考に、自信をもって上手に利点を活かして下さい。

 〜平成18年4月(愛媛新聞「救Q箱」)より〜

平成20年3月13日HP掲載